学会からの刊行物
現在の日本社会では,慢性疾患をもち在宅療養する人,障害を抱えながら地域で暮らす人,生活機能に支障を抱えながらも住み慣れた自宅で暮らす人,人生の終末期を自宅で暮らす人など,在宅ケアを必要とする対象者は非常な広がりをみせ,専門職にはこの多様なニーズへの対応が求められるようになっています.
これらのニーズに応えるためには,「在宅ケア学」の確立と普及が不可欠といえます.この「在宅ケア学」とは,実践の科学であり,適切なアセスメント,計画の立案,実施,評価のプロセスを踏んだ,在宅ケア対象者への保健医療福祉介護に関する総合的なケアの理論と実践が融合した学際的な学問です.
在宅ケアは利用者と家族を中心としたケアであり,彼らの望む生き方を支援するためには,学際的チームによるアプローチが不可欠であり,各職種が専門性を十分に発揮しながらも,相互に連携をはかり,協働するプロセスが重要です.
これらの考え方に基づいた在宅ケア学を広く普及するために,本書はどの専門職種にとっても必要である在宅ケア学のコアとなる基本的考え方や諸制度,学際的チームアプローチの在り方,対象別の具体的ケアやエンド・オブ・ライフ期のケアで構成され,これらに関する理論と実践について,現場の実践者や学生,教育者,研究者が体系的に身につけ,学問としての在宅ケア学の基盤を学ぶことができるテキストとして刊行されました.
また,現場で行われている在宅ケア実践を理論づけし,理論をもとにした現場での最善のケアを向上することをめざして,日本在宅ケア学会が総力を挙げて刊行した次第です.
本書は,日本在宅ケア学会の設立20周年を記念した出版事業として,これまで培われた在宅ケア学を集大成するとともに,今後の在宅ケア学のさらなる発展の方向性を示しながら,保健医療福祉介護など,在宅ケアに関連する領域の学生,大学院生,専門職実践家,教育者,研究者の実践・教育・研究活動に資することができれば幸いです.
ぜひ皆さま方の座右の書として活用できることを期待します.
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